過去ログ - 川崎沙希に幸福を -SS速報VIP

過去ログ - 川崎沙希に幸福を

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252:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/20(土) 01:33:38.07 ID:olnx657vo
「あのさ、もう聞いてもいいのかな。講義終わってから、何してたの？」

「あー…。ほんとなんでもないぞ？ただのバイトだよ、バイト。講義取りまくったし教科書が思ったより高かったから、金がねぇんだよマジで」

「は？なんでそれ隠す必要があんのさ」

以下略

253:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/20(土) 01:35:08.22 ID:olnx657vo
そんなくだらない理由だったんだ……。

もう、この人は。本当に、もう……。

安堵か、もしくは呆れから全身の力が抜け、さらに顔の筋肉まで弛緩したのか目からは涙がこぼれ始めた。

以下略

254:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/20(土) 01:37:03.26 ID:olnx657vo
「なにその返事……。あんたもおもいっきり笑ったり、泣いたりとかあたしに見せてよ。あ、やっぱり大笑いはいいや、なんか気持ち悪いかも」

「ちょっと、さらっと罵倒しないでもらえます？にしても不器用同士って、うまくいくのかね……」

「し、知らない。今さらそんなこと言っても取り消しできないからね。言っとくけどあたし、面倒な女だから」

以下略

255:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/20(土) 01:38:33.56 ID:olnx657vo
けどあたしはそんな彼を否定しない。したくない。

感情をなかなか素直に表せない不器用な性格は、全てを肯定できるものじゃない。変えたいと思う嫌な部分もたくさんある。

でも、自然になるほど長い時間をかけて染み付いたものは、それはもう彼の、あたしの一部だ。

以下略

256:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/20(土) 01:39:46.73 ID:olnx657vo
「そうだな、それが世のため人のためだな」

「そうだね。みんなのためだから仕方ないよね。ふふっ、あはははっ」

「くっくっ……ははっ」

以下略

257:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/20(土) 01:42:04.13 ID:olnx657vo
穏やかな空気が部屋を満たし、静かな時間が流れる。

お互いどちらからともなく、ベッドに腰掛けて座っていた。

大学で並んで座っていたときの、少しだけ離れた距離。

以下略

258:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/20(土) 01:43:34.60 ID:olnx657vo
「ちがっ、そうじゃないっ。あんたに何があるかわかんないからって言ってんの。それに無理にお金使うことないじゃん」

「あ、そうなのね……。つっても、元々お前と出掛けるために稼いでた金だからな。どっか行きたいとこ、本当にないのか？」

「昨日も言ったけど、あたしも人多いとこ好きじゃないんだよね……。あ、行きたいというか、見たいものならあるかも」

以下略

259:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/20(土) 01:46:16.48 ID:olnx657vo
「…………素敵だな。そういうの、好きだぞ俺も」

「そうなの？なんか意外……」

「じゃあ俺からは、あれだ。今度星見に行こうぜ。どこがいいのかは全然知らんが」

以下略

260:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/20(土) 01:47:22.28 ID:olnx657vo
「なんの間か知らんが、それならまぁ……。よく考えたら星見に行くとか、そんなのリア充完全体にしかできそうにねぇな」

あたしも彼も根本的に人付き合いが苦手だから、たぶん二人が付き合ってもあまり交遊関係は広がらない。

だから彼の言うリア充みたいには、きっとなれないと思う。

以下略

261:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/20(土) 01:50:19.33 ID:olnx657vo
それは、彼のことをわからせて欲しいということ。あたしは比企谷のことを、もっとわかりたい。

あたしのことはわかられなかったとしても、わかりたいんだ。あたしは。

彼もそう思ってるかどうかはわからないけど、同じように思ってくれてるとしたら。

以下略

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