10:名無しNIPPER[saga]
2015/06/14(日) 00:15:03.20 ID:QEdX3JPDO
「んー。でも……」
「でも、なんです?」
「ルルーシュも見たでしょう? 気を失う前の、彼の表情」
「……それは」
「すっごく辛そうな顔してた。それは肉体的な疲労なんかじゃなくて、もっと深いものだと思う」
「…………」
たった今までおちゃらけた表情だった女性は、急に神妙な空気を放ち始めた。こうなると厄介だ。彼女本来の知的な口調に、ルルーシュはとても弱い。
「まあ、確かに……」
倒れる直前、彼の表情を見たルルーシュは渋々ながらここまで彼を運んでしまった。いつもなら問答無用で叩き出す筈なのに、だ。
この男が特殊な訓練を受けた暗殺者という可能性も考えられた。ルルーシュとその周囲には、そういった類いの者に狙われる理由が山ほどあった。
それは、この女性が一番理解してくれている筈なのだが。
「……はぁ」
結局、ルルーシュの口から出たのは抗議の言葉ではなく、ため息だった。こうなったら、これからやってくる他のメンバーに賭けるしかない。流石に身元不明の不審者を意味も無く保護しようなどという奇特な人間は多くないだろう。そんな風に考えていた。
十五分後、部屋に集まった七人のメンバーによる多数決の結果、四対三で保護派が勝利する事となるとは、この時は思いもしなかった。
これが彼とルルーシュとの、最初の出会いであった。
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