123:名無しNIPPER[saga]
2015/06/20(土) 15:27:22.40 ID:SeLyu7oDO
でも、とナナリーは続けた。
「私が元気にしていれば、喜んでくれる人達がいます。きっと……それが私に出来る一番の恩返しなんです」
「…………」
何も言えなかった。歩けず、目も見えない少女。普通なら自分の体を嘆くだろう。どうして他の人と同じ事が出来ないのか、どうして自分の体だけ言うことを聞いてくれないのか。
そして、ここは学校だ。若く、健康的な同年代の少年少女は、数え切れないほどいる。そんな世界の中で、ナナリーは生きているのだ。
どれだけ辛いのか、ライには想像もつかない。だから、言葉が出なかった。ナナリーは自分などより遥かに、多くの事を考えている。無数のハンデを抱えている。自分には、彼女の生き方を肯定も否定もする資格が無いのだ。
「……強いな、ナナリーは」
それしか言えなかった。
ただ眩しいと、尊いと感じた。
「だから、ライさんも私を頼ってくれると嬉しいです。それが……」
「皆への恩返しになる、だろう」
スザクの言葉を思い出す。
「はい!」
頬を染めたナナリーが今日一番の笑顔で頷く。それが、何かと重なって見えた。
きっと僕は、この笑顔を忘れないだろう。
ライは思った。心に刻むとは、こういう事だ。
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