125:名無しNIPPER[saga]
2015/06/20(土) 16:10:57.21 ID:SeLyu7oDO
初めて見た笑顔だった。
その日の昼休み、ルルーシュ・ランペルージは学園の廊下を急いでいた。妹との約束があったのだ。最近、家を空ける事の多くなってきた彼にとって、この約束は何よりも優先すべき事だった。
待ち合わせ場所は庭園内のバルコニー。静かで花の香りに満ちた、ナナリーのお気に入りの場所である。
柄にもなく息を乱す。目的地に近付くにつれ、移動する速度を緩めた。こんな姿を妹に見せるわけにはいかない。
もとより開けた場所だ。ナナリーと家政婦の咲世子。そしてもう一人の先客を見つけるのは容易い事だった。
珍しい。そうルルーシュは思った。ナナリーと話をしているのはライ。この学園に来て一週間ほどになる身元不明の記憶喪失者だった。
(なぜ、あいつが……)
ライという男の動向には常に注意していた。なにせ身元や人種、思想や受けた教育、何もかも不明なのだ。彼一人のせいで、この学園が崩壊することも十分に考えられた。
アッシュフォード学園はルルーシュとナナリーにとっても重要な場所だ。ある理由で身よりを失った二人を、イレヴンである枢木スザクを、ここは受け入れてくれた。
この暖かい場所を壊させるわけにはいかなかった。絶対に。
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