138:名無しNIPPER[saga]
2015/06/22(月) 07:41:38.37 ID:77iltqVDO
シャーリーは心配してくれているのか、悲しそうに目を伏せた。深い同情が分かる。決して表面的なものではない。それくらいは、ライでも簡単に理解出来た。
「で、シャーリーはどうしたんだ。買い物か」
彼女に要らぬ心労を与えたくない。ライは苦し紛れに話題を振った。
「うん。日記帳を使い切っちゃって」
「……日記帳」
使い切るほど思い出があるのかと、少し複雑な気持ちになる。もしかしたら、羨ましいと感じたのかもしれない。
しかし、日々の記憶を大切に出来るのはシャーリーが普段から一生懸命だからだろう。そう思うと、ライは目の前の少女がとても大きな存在に見えた。
「君は、今日も記憶探し?」
「いや、そうじゃない」
なぜ否定したのか。この瞬間、ライは深く後悔した。"日記帳"という単語への対抗心が芽生えてしまったのかもしれない。
記憶探しばかりしているわけではないと言い張りたかった。ライにしては珍しい、突発的な発言だった。
「じゃあ、何をしてたの?」
「…………」
街で見かけた少女を追っている。そんな事を言うわけにはいかない。しかし、他に何か誤魔化せる話題があるだろうか。いや、無い。
ここにきて、日頃から指摘されていた積極性の無さが露わになっていた。
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