157:名無しNIPPER[saga]
2015/06/23(火) 08:14:16.44 ID:PahCcs/DO
歩きだしたばかりだったが、また立ち止まる。
そうして、彼の顔を注意深く観察した。カレンのもう一つの顔について、何らかの探りを入れてきた可能性もあるのだ。もし、あれに気づかれたのだとしたら、ライとカレンの関係は終わりを迎える事になる。
「どういうこと?」
知らず知らずのうちに、カレンの口調は刺々しいものになっていた。目つきは鋭くなり、纏う空気は剣呑なものに変わる。明らかな警戒心。今の彼女を見たら、学園の男子生徒達は大層驚くだろう。
しかし、ライはいつもと変わらぬ様子で答えた。カレンの変化に気づかない筈がないのに、特に言及しようとは思わなかったようだ。
「深い意味は無いんだ。ただ、エリア11やゲットー、イレヴン……そういった言葉に、何か違和感のようなものを覚える」
「……そう」
探ってくる筈が無い。少し考えれば分かることだ。この二週間、ライと一緒にいた時間が一番長いのはカレンだ。たまに変な事を言うものの、この少年が誰かを陥れるなど、考えられない。
それくらいには信用していた。
しかし。
カレンの表情はまだ晴れない。ライの言った言葉が、彼女を落胆させていた。
「……あなたも、イレヴンって言うのね」
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