158:名無しNIPPER[saga]
2015/06/23(火) 08:50:49.31 ID:PahCcs/DO
それは失望だった。
イレヴン。カレンの一番嫌いな言葉だった。
記憶の無い彼ですら、日本と日本人に対して無自覚に差別用語を使っている。カレンはライとの間に、深い溝が出来るのを感じた。
いくらライがスザクのようなイレヴン──名誉ブリタニア人と親しくしていても、根底にある意識は変わらない。ルルーシュもそうだった。
どんなに善良な人間でも、自分とは育ってきた環境が違うのだ。カレンは生徒会のメンバーはみな好ましい人間だと思っていたが、同時にある程度の距離を保っていた。それは自分の行っている活動に対する、双方の安全面を考慮しての行動だった。
「…………」
「…………」
二人の間に、深い沈黙が降りた。彼の瞳を見ても、考えは読み取れなかった。変な奴と思っているのだろうか。きっとそうだろう。
学園の生徒と距離を取ったのはきっと、こういう気分になるのが嫌だったのだと思う。本当の相互理解など結べないと分かっていたのだ。
目を伏せた。眉を寄せた。唇を噛んだ。親しいと思っていた人間に裏切られるのは何よりも嫌だった。それを相手に伝えられない事も、嫌で嫌で仕方なかった。
カレンの脳裏に、一人の侍女の姿がよぎる。
結局、これだ。
彼に対して溝を作っているのは自分自身だと理解していたが、それでも口からはライを拒絶するような言葉が出る。
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