159:名無しNIPPER[saga]
2015/06/23(火) 11:22:54.84 ID:PahCcs/DO
「イレヴンの事よ」
「…………」
彼は答えない。
「ここは本当は『日本』という国で、彼らもイレヴンではなく日本人で、また、そう呼ばれるはずの人々で」
エリア11は『日本』という国だった。ナイトメアなどの動力に使われる希少鉱石"サクラダイト"の輸出国として、戦乱の世でも突出して平和な国だったのだ。
しかし七年前、そのサクラダイトを狙ったブリタニアは当時、それなりの友好国であった日本へ侵攻。蹂躙し、全てを奪っていった。残されたのは瓦礫の山と、ドブネズミのように生きるしかなくなった日本人。そして消えない憎しみ。
何もかもおかしかった。平和に暮らしていた人の幸せを奪っておきながら、ブリタニアは今も繁栄を続けている。
許せなかった。
何もかも、全て。この租界の街並みも、笑顔で暮らす人々も。男に媚びた母親も、この身に流れる血の半分も。何度も壊してしまいたくなった。
黙っていたライが口を開く。なんと言われるのか、あらかた想像はついていた。カレンの中にあったのは虚ろな諦念のみだった。
「僕にも、その気持ちは理解出来る」
小さいが、はっきりとした言葉。
「え……」
「上手く言葉に出来ないが、分かるんだ。日本の事も、日本人の事も」
「…………」
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