160:名無しNIPPER[saga]
2015/06/23(火) 11:40:47.70 ID:PahCcs/DO
その必死とも言える様子は、いつもの彼らしくなかった。嘘を言っているようには見えないし、カレンの機嫌をとるための言葉とも思えない。
なにより、その言葉には真摯な響きがあった。
「……僕の失った記憶の中に、そういった物があったのかもしれない」
「そう……」
ライの過去に日本が関係しているかもしれない。そんな可能性は考えたこともなかった。
「なら……もしかして、あなたは日本人?」
そんな事は無いだろう。彼の髪は銀色だし、顔立ちもブリタニア人だ。
「それが、ブリタニアの文化にも似たような感覚があるんだ」
やはり、ライの口からも否定の意見が出た。
「日本人でも、ブリタニア人でもない……」
「もしくは、日本人でもあり、ブリタニア人でもある」
「日本人でもあり、ブリタニア人でもある……か」
その言葉を反復すると、心が揺れた。ライは無意識に言ったのだろうが、カレンにとってはとても重要なものだった。
もしかしたらこの時、新たな願いが生まれたのかもしれない。そうであったら嬉しいというくらいの、ささやかな希望が。
知らないうちに、笑顔になっていた。
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