179:名無しNIPPER[saga]
2015/06/25(木) 17:03:33.15 ID:bQXV5DuDO
「あ! ライ、見〜っけ!」
「……?」
クラブハウスから出たところを、ミレイ会長に捕まった。必要以上の笑顔を浮かべる彼女の手には一枚の紙。熟練の生徒会メンバーなら、このシチュエーションで全てを察することが出来るだろう。
「これから出かけるんでしょ?」
「……はい。すみません」
健全な生徒なら、今は登校の時間だ。しかし、ライの手には学生用の鞄は無い。今日は授業には出ず、租界へ向かおうかと思っていたのだ。
「あなたは仮入学の生徒だから、授業は強制じゃないけどね。ちゃんと勉強しないと、将来困るわよ?」
「はい」
確かにミレイの言う通りだと、ライは頷いた。高等部での成績や評価は将来に大きく影響してくる。とても大事な時期なのである。
「でも……」
他の生徒とは違い、ライはいま困っているのだ。このままの状態で、将来の事など考えられるわけがない。記憶探し以外にも意識を向けようと思ってはいるものの、なかなかそうはいかなかった。
あの、緑髪の少女の姿が頭から離れない。
彼女の事をはっきりさせない限り、自分は前には進めない。そんな確信があった。
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