193:名無しNIPPER[saga]
2015/06/26(金) 09:45:57.53 ID:AcBC3WIDO
 「立て。そろそろ動ける筈だ」 
  
  
 「…………」 
  
  
 確かに、体が動く。まだ麻痺したかのような感覚が残滓として漂っているが、随分ましになった。 
  
  
 立ち上がる。近くで見た少女は小柄だった。外見からして同年代だろう、ミレイやシャーリー、カレンと比べると顕著だ。ニーナと同じくらいに思える。 
  
  
 「なんだ?」 
  
  
 「いや……」 
  
  
 心なしか不満そうな声。読心術でも使えるのか。めったな事は考えない方がいいのかもしれない。 
  
  
 そんな心中も読まれたのか、少女はこちらに背を向けた。 
  
  
 「ついてこい」 
  
  
 「どこにだ」 
  
  
 「たわけ。買い出しを頼まれているのだろう。案内してやると言っているんだ」 
  
  
 「……そうか。すまないな」 
  
  
  
 存外、少女は親切だった。小さな背中に連れられ、街を歩く。 
  
  
 「…………」 
  
  
 やはり、と思った。この少女は異質な存在としか思えない。纏う空気、超然とした態度、そして先ほど垣間見た力。どれも常識という言葉からかけ離れている。 
  
  
 だが、何故だろう。 
  
  
 ひどく安心する。 
  
  
  
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