201:名無しNIPPER[saga]
2015/06/26(金) 20:46:05.92 ID:AcBC3WIDO
日本人男性は公園を出て右に曲がって行った。一瞬にして、その姿は見えなくなる。
遅れて、泥だらけになったブリタニア軍人がやってきた。彼らは見るからに激怒していた。当たり前だろう。踏みつけ、足蹴にしていた名誉ブリタニア人──日本人の前で恥をかかされたのだから。
「おい、そこの学生!」
「……はい」
「いまイレヴンが走ってきた筈だ! どっちへ向かった!?」
「ああ、それなら……」
ライは特に迷いもせず、左を指差した。男性が行ったのとはまったく逆の方向だ。
返答もせず、ブリタニア軍人達は走り去って行った。目標に追いつく事はない。面目は丸つぶれだ。もう、この公園に現れることもないだろう。
振り返ると、暴行を受けていた男性は仲間に助け起こされながら、自らを助けてくれた日本人が逃げて行った方向に頭を下げている。不安そうだった子供達も笑っていた。
「……悪くないな」
あの日本人男性がとった行動は決して褒められたものではなかったが、それでも人の心を救うものであった。
ああいうのも、悪くないと思う。
ライは買い物袋を持ち直し、アッシュフォード学園へ向かった。今の一件を見たためか、足が軽い。我ながら簡単な奴だと思った。
いつしか雲は吹き飛び、青空が広がっている。
もう一度振り返り、公園を見渡した。迫害に近い扱いを受ける日本人の、懸命に生きる姿があった。
(……帰ろう)
ライは再び、歩き出した。
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