204:名無しNIPPER[saga]
2015/06/26(金) 21:41:40.74 ID:AcBC3WIDO
「なんだ……?」
彼女の意図が分からず、首を傾げた。
「だ、だって、今のはその……ほら、学園でのイメージとかがあるから」
「…………」
「誰にも言わないで欲しいんだけど」
「君が素晴らしい跳躍をしたという事をか」
「う……」
そう言うと、カレンの顔がカァッと赤くなった。羞恥と怒りと戸惑いが混じった表情で、それでも頷く。
「構わないぞ」
「……本当?」
少し非難がましい視線。信用していないらしい。
「ああ。人には言えない秘密くらい、誰にでもある」
「…………」
「君の不利益になる事はしない。約束する」
「……あ、ありがとう」
カレンは目を逸らした。三度、赤面している。ライはその意味が分からないまま彼女の持っている書類、その大半を受け取った。
「半分持つ」
「うん……。ごめん」
ライは何事もなかったかのように歩きだした。その三歩後ろをカレンが続く。静かな中庭には二人以外の姿は無い。穏やかな夕焼けと、放課後特有の空気。ライは背後から視線を感じたが、気にしなかった。
そういえば、と考える。
(僕が前を歩くのは、初めてかな)
いつもは彼女の後ろをついて行ったいるだけだった。わけもなく、誇らしい気分になる。
その後、生徒会室に着いた二人は一緒に現れた事をからかわれ、カレンは四度目の赤面をする事になった。
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