22:名無しNIPPER[saga]
2015/06/14(日) 13:42:06.77 ID:QEdX3JPDO
「……すまない」
彼は言葉通り、本当にすまなそうに俯いた。それはカレンの今の言葉にではなく、もっと根本的な事への謝罪に思えた。
「え……」
「だって、迷惑だろう。こんな役割を押し付けられて」
「…………」
そういうことか。と得心がいった。彼はつまらなかったわけでもなく、不真面目だったわけでもなかった。ただ、申し訳なかったのだ。
自分が他者にとって迷惑な存在だと認識していて、それを押し付けられたカレンに対して、いつ謝ろうかと悩んでいたのだ。
その時カレンは、距離をとっていたのはライではなく、自分だったのだと気付いた。数時間に渡る案内の道中、何回こうして振り返っただろう? もしかして、今が初めてではないのか?
失礼なのはどちらだったのだろう。右も左も分からないライを適当に連れ回し、彼の意見など聞こうともしなかった。
「あ……」
目眩がした。謝るべきなのは彼ではない。こちらだ。恥ずかしさが込み上げ、申し訳なさが体を満たした。
「今日はありがとう。君のおかげで大体わかった。後は自分で何とか出来る」
そう言って、ライは学園へ続く道へ向かおうとする。あんな案内でも、きちんと理解していたようだ。彼が真剣だった証拠である。
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