231:名無しNIPPER[saga]
2015/06/30(火) 00:04:31.98 ID:oqH+Nm+DO
「こちらは<サザーランド>が六騎……数が違い過ぎる」
『そうだね。こんな状況だし、準備だけはしておいて』
「はい」
ロイドの言葉を受けて、スザクはモニター下部に刺さっている金と白のキーを回した。座っているシートから地響きのような重い揺れが伝わってくる。
『ま、ここまで来ても命令が無きゃ動けないんだけどね。セシルくん、もう一度催促してきてくれる? こっちはいつでも出れますって』
『……分かりました』
肩をすくめてセシルが去っていった。彼女は決して好戦的な女性ではないが、状況がそれを許さなかった。スザク自身も、胸の内に焦燥感と危機感が立ち込めつつある。
現在、スザク達ブリタニア軍が戦闘しているのは日本解放戦線からはぐれた下部組織だった。中華連邦から持ち込まれた特殊な薬物を所持しているらしい。敗北し、包囲された腹いせに、自棄を起こした彼らは浄水場の一部を占拠した。
自分たちの全滅と引き換えに、その薬物を浄水場から流そうという考えだ。一滴で人を殺す薬物を二〇〇〇リットル放流すれば、トウキョウ租界は壊滅する。
『あんな事しても、意味なんかないのにね』
そうだ。
いくら浄水場を占拠し、そこから劇薬を水道水に混ぜたとしても、その水が流れる供給ラインを停止させれば租界に毒は回ってこない。
困るのは面倒な復旧作業を強いられる水道局と、事態の解決にあたるブリタニア軍だけだ。
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