269:名無しNIPPER[saga]
2015/07/02(木) 12:59:01.35 ID:9ivMzcXDO
 「僕は間違っていると思う」 
  
  
 ライが答えるより先に、スザクが言った。軍人の彼からしたらそうだろう。不自然な事ではない。彼が普通の軍人であるならば。 
  
  
 「君が言うと、ややこしくなるな」 
  
  
 スザクは名誉ブリタニア人──日本人だ。その彼が、一応は日本解放のために戦っている黒の騎士団を批判するとなると、問題はいっそう複雑になる。 
  
  
 「……気に入らないか」 
  
  
 そう尋ねると、スザクは間髪入れずに頷いた。 
  
  
 「間違った方法で得た結果なんて、何の意味もない。間違っているなら、正当な方法で正さなくちゃいけないんだ……!」 
  
  
 「…………」 
  
  
 「あんな格好で正体を隠して、市民を煽って、それで戦って。あんなのは間違ってる」 
  
  
 「……確かにな」 
  
  
 黒の騎士団──というかゼロはかなり胡散臭い。『全ての弱者の救済』などというお題目を掲げ、それを忠実に実行している。そのおかげで日本人のみならずブリタニア人からも高い支持を得ているが、逆にそれが胡散臭さを助長させていた。 
  
  
 なぜそういった思想を持つに至ったかの経緯が全く不明で、行動原理に裏付けが無い。そんな人物が行う奉仕活動じみた戦闘を、疑うことなく賞賛する人間がいたとしたら、それは間違いなく阿呆だろう。 
  
  
 「だが、結果は出ている」 
  
  
 これもまた、事実だった。 
  
  
  
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