278:名無しNIPPER[saga]
2015/07/03(金) 00:48:22.85 ID:XSwai4zDO
トウキョウ租界の昼下がり。ライは自身の世話係主任であるカレンと共に、何度目か分からない散策に来ていた。
最近は彼女の方が忙しいという事もあり、出かけるのは実に四日ぶりとなる。
天気は、今日も快晴だった。
「良い天気ね」
カレンが言った。せっかくの休日だ。ライにとってはあまり関係ないが、彼女はこうして休みを潰してまで付き合ってくれている。ありがたいことだと思った。
「そういえば、君といる時はいつも晴れだな。もしかして君は、いわゆる晴れ女?」
「そう? あなたが晴れ男かも」
「もしくは雨男と雨女で……」
「相殺?」
「かもしれないな」
ライにしては珍しい軽口だった。カレンはしっとりとした笑みを浮かべる。いつぞやの三角飛びを見せた姿とは、まるで別人だ。
「あら。それだったら私たち、なるべく一緒に出かけた方が皆のためね」
こういった何気ない会話にも、彼女からの親しみを感じられる。出会った時とは比べるべくもない。
(そういえば、最初の夜もカレンと一緒だったな)
アッシュフォード学園で保護されてから、初めて租界を案内された時の事を思い出す。あの時に開いていた距離は、今ではだいぶ縮んでいた。
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