294:名無しNIPPER[saga]
2015/07/06(月) 00:25:24.48 ID:DIPBHoXDO
そうした、アッシュフォード学園の魅力を客観的な事実に基づいてライが説明する。我ながらナイスなプレゼンテーションだと思ったが、ミレイは不満顔のままだった。
五分後、室内プールの衛生面と安全性を話し終えてから、図書室の蔵書数とそのジャンルの幅広さについて話が切り替わる時だった。自身の学園のプレゼンを延々と聞かされていた生徒会長が勢い良く立ち上がる。
「ちっがーう!!」
広い生徒会室が揺れるほどの大声だった。勢いが良すぎて吹っ飛んでいった椅子を哀れんでから、ライは視線を戻す。
「そうじゃないでしょ!? わたしが聞きたいのは三年間の学費がどれくらいだとか、食事メニューのレパートリーだとか、寮の個室の広さだとか、そういうんじゃないの! 知ってるし!」
「はあ……」
「あなたが学園をどう思ってるか! どうなの!?」
ミレイがぐいっと近づいてきて、ライの胸を指で小突いた。その勢いに気圧されながら、あくまでも冷静に答える。
「ですから、学園についての知識を披露することによって、僕がどれだけ嫌っていないかを……」
「じゃあ、なんで未だに迷子になるのよ」
「それは……。学園の敷地面積がそれだけ広大ということです」
そう言うと、ミレイはにっこりと笑った。一般の男子生徒だったならば見惚れるところだろうが、生徒会に関わる者にとっては、これから自身に災難が降りかかることを表す笑みだった。
まずい、とライは思った。ここで自分がリヴァルやシャーリーのように慌てふためいたり、ニーナのように怯えたり出来れば事態は好転するかもしれないのだが。
「…………」
相変わらずの無表情だと、自分でも分かった。
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