305:名無しNIPPER[saga]
2015/07/07(火) 23:23:38.30 ID:pJv3maSDO
「ちょっとー。その板もう少し上に持ち上げて」
「おう」
設計図だろう紙を持った女子生徒が、工具を振るう男子に指示を出す。作っているのは屋台のようだ。まだ骨組みの状態だが。
「ははぁ、やってるわね〜」
それを見て、ミレイはにっこりと笑った。冷やかすようなものではない。純粋な喜びから来るもののように思える。
ライは頷いて賛同した。
「みんな楽しそうだ」
木材を組み立てるだけで、どうしてあんなに楽しめるのかは分からないが、笑顔があるに越した事はない。
ミレイは先ほど学園の姿がいつもとは違うと言っていたが、笑いに満ちているのは普段と変わらないはずだ。
「もちろんよ。年に一度の学園祭、楽しまなきゃ嘘でしょ」
「活気があるのは良いことだ」
生徒会長の後ろを歩きながら、感想を述べる。やはり他人行儀なものだったが、ライはそのことを自覚していなかった。
今の状態でアッシュフォード学園に長居するのは双方のためにならない。施しを受けるだけの一方的な関係など、早急に解消するべきなのだ。
そんな風に考えていると、前を歩いているミレイが言う。
「ねえ。ここにしばらくいるのなら、行事や部活動に参加してみるのもいいんじゃないかしら」
「…………」
やはり、この女性は読心術を使えるのではないだろうか。本気でそう思った。
「…………」
彼女の提案に、答えることは出来なかった。
答えられない自分が、また嫌いになった。
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