307:名無しNIPPER[saga]
2015/07/07(火) 23:27:10.65 ID:pJv3maSDO
「そうですね。そんな相手が出来るのは良いことだと思います」
「そうでしょそうでしょ」
ミレイは満足そうに頷く。
「出会いが欲しいと思っている人も多いだろうし、この企画は盛り上がるわよ〜!」
間違いなく一番盛り上がっているだろう女性が言った。ニコニコしていた彼女は、しかし一転して目を伏せる。
「……私ね、家の都合でお見合いばっかりさせられているの。だから、普通の恋なんて夢のまた夢」
「お見合い……」
そういえば、アッシュフォード家が経済的に上手くいっていないと聞いたことがある。一人娘のミレイがその重荷を背負わなくてはならないのだろう。
名家だからこそ、どうしようもない事情だ。家が取り潰しになんてことになったら、アッシュフォード学園の生徒も無事では済まない。彼女の肩には、とてつもない人間の人生が掛かっているのだ。
「もちろん、今のところは全部破談にしちゃってるんだけどね」
ミレイの口調はあくまでも冷静だった。自分の未来を受け止めている者の表情だ。
「いずれは結婚しなくちゃいけないとしても、学園にいるうちから結婚の話を決めるのなんて……嫌だもの」
これも、彼女の本心。決意の裏にちらつくのは、確かな諦念だ。誰よりも普通の恋愛に憧れているだろうに、他人の手助けばかりしているのには理由があるのかもしれない。
少し気になって、ライは尋ねた。
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