308:名無しNIPPER[saga]
2015/07/07(火) 23:28:53.18 ID:pJv3maSDO
「どうして……ミレイさんは他人の幸せに、そこまでこだわるんですか」
「え……」
珍しく、ミレイが驚いた。形の良い瞳が大きく見開かれる。
これは以前から──この学園に来た当初から抱いていた疑問だった。
恋愛事だけではない。身元不明の記憶喪失者であるライを保護するなど、彼女のお人好しは度が過ぎているのではないのだろうか。
「……変、かな」
「だと思います」
ミレイは笑った。だが、その表情にはいつもの覇気がなかった。
「他人に手を貸してばかりで、ミレイさん自身が幸せじゃない。学園生活を謳歌したいなら、もっと利己的に生きるべきだ」
彼女は頭が良いし人望もある。その気になれば──時間や労力を自分のために使えば、もっと楽に、もっと幸せになれるはずなのに。
今だってそうだ。こんなところで貴重な時間を、こんなつまらない人間のために使って、何の得があるのか。
理解出来ない。
「私が……幸せじゃない? どうして?」
ライの吐き捨てるような言葉を受けて、ミレイはまた驚いたような表情をしていた。
「それは……」
頭の中にあるものを、上手く言葉に出来なかった。それがまた無性に苛ついた。人差し指と親指をこすりあわせる。
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