313:名無しNIPPER[saga]
2015/07/07(火) 23:37:18.94 ID:pJv3maSDO
「ブリタニア軍の主力兵器ですよね」
ライが知っているのはそれだけでは無い。ナイトメア──例えば現行の主力機である<サザーランド>について、そこらの専門家より雄弁に語れる自信があった。
全高や重量、主な火器といった比較的ポピュラーな情報から、センサーの範囲や生産数、稼働時間……抱えている構造的な問題とその数。操作の習熟に掛かる時間。それらが明確に分かるのだ。
だが、そんなことをロイドに言えるわけがなかった。普通の無知な学生を装うしかない。
「キミ、ナイトメアに乗った事があるでしょ?」
「は……」
ロイドが何を言っているのか分からず、ライは言葉を失った。ナイトメア・フレームといえば、専門の訓練を受けたブリタニアの騎士にのみ搭乗資格が与えられる、特殊な兵器だ。学生が乗れる代物ではない。
「どうしてですか」
「ナイトメアの搭乗者は肉体的な特徴があるんだよね〜。しかも、キミの場合はかなり凄い。一〇や二〇の搭乗時間じゃ、こうはならないから」
「…………」
こういう時、無表情は役に立つ。
「で、どうなの?」
ロイドは未だに笑みを絶やさない。決定的な証拠を突きつけ、勝利したつもりなのか。
「……なら、スザクもナイトメアに乗っているんですか」
今度はこちらが、質問に質問で返してやった。ロイドは笑みをやめ、ようやく目を合わせてくる。今までのおどけた姿からは想像も出来ない、背筋が凍るような、全てを見通す瞳だ。
「…………」
「……では、僕はこれで」
今度こそライは校舎に向かって歩き出した。
背後から視線を感じたが、ロイドは、何も言ってこなかった。
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