321:名無しNIPPER[saga]
2015/07/13(月) 00:27:59.54 ID:LDywV5nDO
「良ければ、少し話をしないか」
「……ああ」
ライは静かな眼差しでルルーシュを見つめた後、それを学園の外に向けた。学園の正面入口より先、向かいの大学。軍用の大型トレーラーが停車している。
「良い景色だろう。ナナリーも、ここを気に入っている」
ルルーシュが妹の名前を口にすると、ライは何かを慈しむように目を細めた。
この表情だ。
他の人間には決して見せない、穏やかな横顔。ライはナナリーと接している時に、こういった顔をする。
「ナナリー、か」
「…………」
注意深く観察する。この少年がナナリーに対して邪な感情を抱いていないという事は知っていた。普段からは想像も出来ない包容力。その接し方はまるで──そう、兄のようなのだ。
「ここにナナリーが来やすくなるよう、ミレイさんに頼んでみたらどうだ」
この屋上へ上がる手段は階段のみだ。エレベーターや身障者用のリフトは設置されていない。つまり、ナナリーが来るにはどうしても他者の協力が必要になるということだ。
「そうはいかないさ。クラブハウスに住まわせてもらっている身としてはな」
「そうか。……だが、必要な時に言ってくれれば、僕がナナリーを運ぶぞ」
これだ。この積極性。
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