325:名無しNIPPER[saga]
2015/07/13(月) 01:07:16.94 ID:LDywV5nDO
「……すまない」
ライは俯き、謝罪する。これもまた、予想通りの展開だった。
「勘違いするな。別に迷惑と言っているわけじゃない」
「…………」
「その逆だ。少しは感謝しているんだ。お前が来るようになってから、ナナリーはよく笑うようになった……まあ、兄としては複雑な気分だがな」
ルルーシュが家を留守にするようになってから、ナナリーは寂しがっていた。それを埋めた──いや、それどころか以前より笑うようになったナナリーを見ては、文句など言いようがない。兄としての心情も含めて、全て本心だった。
「君の言う通り、僕はナナリーに誰かを投影している。だが、だからといって彼女を疎かに扱っているわけではないんだ」
ライの声に、珍しく必死な色が混ざった。自身の擁護ではなく、あくまでも他人の名誉を守ろうとする。ルルーシュは笑って、
「分かっているさ。でなければ、俺もこんな話はしないからな」
もう一度空を見上げた。
背を伸ばし、深呼吸する。
「ナナリーが言うには、ここは空気が違うそうだ」
「……そうなのか」
ルルーシュは、ゆっくりと言葉を紡いだ。取り留めのない、ただの雑談。何気ない日々の記憶。ナナリーの事、スザクの事、ミレイの事、生徒会での思い出。色々だ。
ライは黙って聞いていた。どうしてか、この少年には色々と喋ってしまう。
やはり変な奴だと、ルルーシュは思った。
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