335:名無しNIPPER[saga]
2015/07/18(土) 11:37:48.38 ID:oFzwPuzDO
「さっぱり分からない……」
普通に好きだと告げれば良いではないか。なぜ、平和な世界で生きていた男を危険な裏社会に引き込もうとするのか。途中の銃撃戦で男に射撃の才能があるかのような描写はあったが、それだけではとても納得できない。
男の方の心情も理解出来なかった。女は敵組織の混乱を誘うため、男もろとも幹部を爆殺しようとしている。明らかに危険な人物だ。男が彼女に対して劣情を催しているという事はしつこく描写されていたが、リスクとリターンが噛み合っていない。馬鹿な奴だと思った。
「ちょっと貸して」
カレンに文庫本を渡す。途端に、彼女も眉間に皺を寄せた。
「分かるか」
「わ、分かるわよ。もちろん。映画で見たことあるし……」
映画化までされているのか。カレンがそういった娯楽を嗜んでいるところが想像出来なかったが、それは口にしなかった。
「そうか。なら……」
疑問に思っていた点を尋ねる。やはり、「あれよあれ」だとか「考えなくても分かる」だとか「この人たち馬鹿なんじゃないの」だとか要領を得ない答えばかり返ってきた。
しかし一点だけ──女が男に正体を明かすシーンだ──カレンが明確な解説をした。
「これはちょっと分かるかな」
「なんだ」
「自分の事を知ってもらいたかったんでしょ。誰にも話せず戦うって、辛いことだから」
「……そうなのか」
「そうなの」
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