357:名無しNIPPER[saga]
2015/07/23(木) 20:24:53.93 ID:jVTaH5bDO
「まんざらでもない、まんざらでもない」
「え……まんざらでもないんですか」
ニーナまで顔を赤くして同調し始めた。
「ちょっともう……! あなたもなんとか言ってよ」
黙っていろと言ったり喋れと言ったり、なかなか注文が多い。しかしなんと言っていいか分からず、ライは呻いた。
おそらく、カレンは現状の打開をしたいのだろう。今までの言動から考えて、からかわれるのを嫌がっていると推測できる。その上で、自分に要求される役割、意見とは何か?
(誤解を生まず、茶化されない言葉か……)
難しい。ミレイ達がライとカレンの仲を疑っているらしいのは何となく分かる。そして、それをカレンは嫌がっているわけだ。下手に取り繕うのは下策だろう。
ありのままの事を話した方が矛盾も生まれず、結果的には良い方へ向かうのではないかと思った。
「……正直に?」
万が一のために、確認を取る。カレンは敵陣を睨みつけながら頷いた。
「そうよ。ビシッと言ってあげて」
許可が下りたことに安堵したライはこくりと頷いてから、起立した。全員の意識はこちらを向いている。全員が、次の一言に耳を傾けている。
失敗は許されない。静寂の中で決意する。
そして息を吸って──静かに、場に染み込ませるように、それでいて毅然とした態度で告げた。
「まんざらでもない」
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