過去ログ - コードギアス 【ロスカラ】
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392:名無しNIPPER[saga]
2015/07/31(金) 18:13:04.92 ID:TYp+eNeDO
何もかも違う。間違っている。こんなのは望んでいない。


もう戻らない。兄は死んだ。母は変わった。何もかも滅茶苦茶だ。元通りになど出来るはずがない。


涙は枯れた。学校では作り物の笑みを貼り付けている。いつからか仮面の被り方が上手くなった。


そうなってから、もう随分経った。もう涙を流す事は無いだろう。兄が死んで、大切な何かが壊れた。


扉は閉ざされた。もう開くことはない。


平穏な日常。大好きな家族。夕焼け空と帰り道。兄の背中。あれは夢だ。あの夢は叶わない幻想だった。幻想は砕けて、その破片が今の自分を苦しめる。


それが許せなかった。奪われた物は、壊された物はもう戻らない。だから、壊さなくてはならない。そのためには、なんでもやってやろう。


姿見に映る自身の顔を隠すように、そっと右手を置いた。指の隙間からは燃え盛る怒りと、吹き荒れる嵐のような憎悪に満ちた瞳がこちらを見返している。


強くなったのだ。


もう、誰かに守られるほど弱くはない。


強くなるしかなかった。でなければ、きっと壊れてしまっていただろう。もしかしたら、もう壊れているのかもしれない。


どちらにしろ、大きな変化ではない。この手は母の手ではなく、武器を握るようになった。それだけの事だ。


それだけの事なのだ。







カレン・シュタットフェルトは身支度を手早く整え、部屋を後にした。同年代の女の子なら全身全霊をかけて行う化粧も、いつもと同じく適当だった。


既に並べられていた朝食は無視して家を出る。あれを誰が作ったのか、口に運ぶ者のいない食材がどうなるのかは考えないようにしていた。広い庭を突っ切り、門まで直行する。


手入れの行き届いた花壇の前を通って、そのままシュタットフェルト家の敷地内を出た。何人かの侍女とすれ違ったが、いずれもカレンを無視するか、心のこもっていない挨拶をしてくるだけだった。





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