395:名無しNIPPER[saga]
2015/07/31(金) 18:19:15.35 ID:TYp+eNeDO
ライだ。間違いない。
彼は困った様子で相手の少女に何かを案内している。無口、無愛想、無表情の三重苦を抱えている人物にしては珍しい。
ピンクと銀の髪の毛は非常に目立つ。なにより美男美女の組み合わせだ。ライは普通にしていればどこぞの国の王子様のように見える。学園の中等部、高等部、そして向かいの大学では"幻の美形"などと呼ばれているくらいには人気が高いのだ。
頻繁に顔を合わせているせいか、それとも異性の外見にあまり興味がないのか、なにより彼の普段の行いのせいか……いずれにしても、カレンはライをそういった目で見たことがないので分からなかった。しかし、ああして雑踏の中に立っていると、確かに目立つ。
二階から観察していると、そう時間も経たないうちに少女の方はライに手を振って去っていく。察するに、今まで道案内か何かをしていたのだろう。
「な……!?」
別れ際。そこで、信じられない事が起きた。
笑ったのだ。ライが。走り去っていく少女の背に向けて、僅かに微笑んでいる。
信じられない。目眩がする。後頭部を何かで強打されたような衝撃が襲ってきた。
なんだあれは。
今まで生徒会メンバーが総力を挙げてライを笑わせようとしたのにも関わらず、彼は笑わなかった。その過程で色々と恥ずかしい思いもしたのに。怪我人も出たのに。結果的に得られたのは可哀想なものを見る目だけだった。
少女が人混みに消えていくのを見送ったライは一仕事終えたように頷き、歩き始める。なんだかとても面白くなくて、カレンはストローを噛みながら唐変木を睨み付けた。
敵意を感じ取ったのか、朴念仁がこちらを見た。目が合う。
1002Res/860.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。