397:名無しNIPPER[saga]
2015/07/31(金) 18:25:31.07 ID:TYp+eNeDO
自分だけ食事しているのも妙だと思い、
「朝ご飯は食べた?」
彼に尋ねる。
「ああ。もちろん」
返ってきたのは得意げな声。視線は窓の外に向いている。落ち着いた普通の仕草だ。他の人間なら納得して次の話題に移るところだろう。しかし、カレンは違った。だてに世話係主任を拝命していない。
「なにを食べたの?」
少し突っ込んだ質問をすると、彼は途端に沈黙した。
「…………」
「どうしたの?」
「……食べたという表現は間違っていた。訂正する。摂取はしたんだ」
「ふぅん……?」
で? という言外の圧力を掛ける。摂取というと、どうせまたビタミン剤か何かだろう。そう思っていた。
「コップ一杯の……」
「一杯の? なに?」
「水を、だな」
「水? 水をどうしたの?」
「飲んだ」
ちょっとばかり時間が掛かってしまったが、結論として出た答えがこれだ。
朝食はコップ一杯の水道水。
カレンは両手に持っていたフォークとナイフを置いて、口元を拭いた。どこまでも上品な仕草だった。
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