411:名無しNIPPER[saga]
2015/08/05(水) 00:08:07.09 ID:h3ZjdUpDO
「…………」
「なに、怒ってるの?」
喋らなくなったライに尋ねる。表情からは窺えないが、もしかしたら機嫌を損ねてしまったかもしれない。
「いや……」
ライはそう言って、鉄板に乗っているハンバーグにナイフを差し込んだ。いまだに熱を放ち、ジュウジュウと音を立てているハンバーグを丁寧に切り分ける手際は見事なものだった。
ナイフやフォークの扱いは問題ないらしい。
しかし、一口サイズにカットされたハンバーグはフォークに刺さったままにされている。口元に運ばれる気配はない。
「食べないの?」
「……熱いのはちょっとな」
熱いのは苦手らしい。スープの容器すら持てなかったところを見るに、高温を保ったままのハンバーグは恐怖の対象なのだろう。
「熱いのが美味しいんでしょう。冷めないうちに食べなさい」
「む……」
困ったように唸る。時間稼ぎのつもりなのか、ライはハンバーグを再び切り分け始めた。なるほど、ああして体積を減らしておけば、熱が逃げるのも早くなる。息を吹きかけて冷ますよりはよほど行儀が良い。相変わらず変なところで頭の回る男だと思った。
(……ハンバーグ、か)
朝見た夢の事を思い出してしまう。
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