412:名無しNIPPER[saga]
2015/08/05(水) 00:09:18.72 ID:h3ZjdUpDO
母や兄にわがままを言って、食べさせてもらっていたっけ。切り分けられるハンバーグを眺めながら、そんなことを思う。
焼けた鉄板の上に置かれたハンバーグは、ナイフを入れるとその肉汁を溢れ出させる。オーブンでしっかりと焼かれた証拠だ。そしてトロトロになったチーズが、肉汁の混ざったソースと絡み合う。
そういえば、ハンバーグは長いこと食べていない。どうしてメニュー表を見たとき、たいして悩みもせずに注文してしまったのだろう?
フォークに刺さった一切れのハンバーグがこちらにやってくるのを眺めながら、カレンは疑問に思った。
「ん……」
ぱくりと食べる。適度な熱さ。肉汁とソースとチーズが混ざり合い、えもいわれぬ幸福感が口の中で生まれた。
(あ、美味し……)
懐かしい。この味とシチュエーション。無くした日々を思い出す。
「あれ……?」
存分に堪能し、ごくりと飲み込んでから疑問がやってきた。何かがおかしい。いや、何もかもおかしい。
見れば、身を乗り出してフォークをこちらに向けるライの姿があった。フォークの先には何も刺さっていない。当たり前だ。たった今、それを食べたのだから。
この私が。
「な……!?」
何をされたのか、何をしたのか理解した。カレンの顔が真っ赤になる。火が出そうなくらい熱かった。
1002Res/860.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。