423:名無しNIPPER[saga]
2015/08/10(月) 09:53:45.41 ID:dDnsREuDO
「……どう?」
ライの考えを聞きたかった。この街を見てどう思ったのか、何を感じたのか。
「ひどいな……」
返ってきたのは、カレンの望んだ答えではなかった。僅かに落胆しながら、言葉を紡ぐ。
「でしょう。これが、ブリタニアのやり方……」
「…………」
「勝者が敗者から奪う。奪うだけでなく、踏みつけにして、当たり前のように苦しみを与え続ける。ひどすぎるわ……」
「……そうだな」
そこでまたもや沈黙が訪れた。またやってしまったと、カレンは思った。ゲットーを前にしてライと話すと、どうしても"本性"が出てきてしまう。
無理やりゲットーに連れてきた挙げ句、反ブリタニア的な思想を口走れば、租界で暮らしている人間から避けられるのは当然のことだ。
曇天を見上げる。そういえば、ライと一緒にいる時はいつも晴れていた。しかし今日は違う。それが暗澹たる未来を暗示しているようで、カレンはひどい不安に襲われた。
縋るように前へ出る。彼の斜め後ろ、その横顔が窺える位置へ。
「……ここは」
ライが言った。とても久しい事のように思えた。
「どうしたの?」
「なんだか、前にも似たような場所に……」
予想外の言葉だった。理解するより速く、どくんと心臓が脈打つ。
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