424:名無しNIPPER[saga]
2015/08/10(月) 09:56:50.89 ID:dDnsREuDO
「見覚えがあるの?」
声音はあくまでも慎重に。この場所で本性を晒すのはまずい。いつも被っている仮面が、今だけはとても重苦しく思えた。
「わからない。はっきりしないけど……。懐かしいというか」
ライは戸惑うように目を細めた。強い既視感を覚えているように見える。演技ではないだろう。また鼓動が早くなる。
「懐かしい? ほんとに?」
ライはこくりと頷いた。
「ああ。なんとなく、だが」
「ここか、それとも他のゲットーかも知れないけど、居たことがあるのかも」
それは推測ではなかった。ただの願望だ。ライに初めて日本と日本人について話した時から、ずっと抱いていた願望。
──ブリタニア人でもあり、日本人でもある──
「だとしたら、僕はイレヴン……日本人なのか」
「可能性はあると思うわ」
「日本人……か」
ライの横顔に、その可能性を嫌がる様子はなかった。それがまた、この願望を強くする。
もし、そうであったなら、それはどんなに素敵な事だろう。
「…………」
なんだか安心してしまう。ついさっきまであった不安は嘘のようだった。自然と口元が綻ぶ。
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