432:名無しNIPPER[saga]
2015/08/10(月) 21:44:13.22 ID:dDnsREuDO
「爆発……。こんな租界の近くで?」
「まずいな。あの周辺には民間人が多くいたはずだ」
空高く立ち上る黒煙を眺めながら、ライが言った。ここに来るまでの間に、しっかりと観察していたのだろう。
「まさか、戦闘……」
「…………」
爆音だけだったら、何かの事故という可能性もある。だが、希望的観測というのは外れるものだ。離れたところから中年男の汚い声が響いてきた。
『我々は<黒の騎士団>である!』
「な……!」
その声を聞いた瞬間、カレンは爆音の発生源まで走り出していた。危険の坩堝に。
「カレ……」
呼び止めようと言うのだろう。後ろからライの声が聞こえた。しかしそれも、先ほどの声によってかき消された。
『これは、ブリタニアに対する抵抗の炎だ! 我々は拳を振り上げる』
待て。やめろ。それ以上言うな。
全力で走りながら、カレンは願った。風を切るような、恐ろしいほどの瞬足だった。陸上部の男子など目じゃなかった。お嬢様の仮面は既に外れている。
『この拳がブリタニアの血で染まり、真っ赤な日の丸となるその日まで!』
息を切らしながら立ち止まる。爆音の、声の発信地に到着した。遅れてライも足を止めた。こちらは汗一つかいていない。
「これは……」
五〇〇メートルほど先には、道路を駆ける数機の巨人の姿があった。全高は五メートルぐらいで、角張った黒い体躯。<グラスゴー>をコピー、改良した第四世代型KMF<無頼>という機種だった。
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