440:名無しNIPPER[saga]
2015/08/10(月) 21:56:34.43 ID:dDnsREuDO
「く……」
「……あ」
苦しげな声。当たり前だ。固く、重い岩塊に全身を打たれたのだから。身を挺してカレンを守ったライは、力尽きたように倒れ込む。
「大丈夫!?」
とっさに助け起こす。幸い、軽い打撲だけのようだった。意識もある。頭などに破片を貰っていたら、取り返しのつかないことになっていただろう。
「う……っ」
「ねえ平気!? なんともない!?」
呼びかけると、ライは衝撃で朦朧としていた頭を振った。
「……ああ」
「あなた、どうして……」
「……君は無事か」
あくまでもライはカレンを心配していた。こんなところに連れてきたのも、足を引っ張ったのもこちらなのに、それでもまだ必死に助けようとしてくれる。
見れば、大きな破片や尖った物は全て外れていた。偶然だとは思えない。彼は冷静だった。冷静に回避コースを選択して、それでも避けられない物は自らを盾にすることで防いだ。
ライは諦めていなかったのだ。
カレンは俯いた。自分が情けなかった。
「もう、無茶して……」
震えた声しか出ない。
「あのナイトメア……」
「え……?」
ライの視線の先には、戦闘不能になり、転倒した<無頼>が横たわっていた。背部のコックピットが開く。中から操縦者だったのだろう、中年男性が転がり出てきた。
男は悲鳴をあげながら逃げようとして──血煙になった。ブリタニア軍の容赦ない銃撃だ。
二人の前には、命を失った巨人が倒れている。カレンはライを見た。息を呑む。例えようの無い巨大な力が、乱気流となって彼の周囲を渦巻いていた。世界が塗り替えられていくような、強烈な存在感。
蒼い瞳に、何かが宿った。
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