451:名無しNIPPER[saga]
2015/08/15(土) 17:24:46.49 ID:96BNk38DO
<無頼>は足を止めた。右腕のアサルト・ライフルは使用できるようだが、火器管制系が壊れているため、残弾数すら分からない。
よしんば撃てたとしても、モニターにレティクルすら表示されていない状態では狙いなど付けられるはずが無かった。センサーと照準システムを利用したロックオンなど夢のまた夢だ。
<サザーランド>は一撃で仕留めるつもりのようだった。当然だろう。一度仕損じているのだ。二度目以降の攻撃は恥の上塗りとなる。まともに動くことすら出来ない格下機が相手なら尚のことだ。
「ライ……」
ごめんね。そう言おうとしたが叶わなかった。相手がトリガーを引くのが分かる。殺意が膨れ上がり、それが砲弾となってこの<無頼>を打ち砕く。避けられない未来。悪夢から覚めないまま、この地獄で死ぬことになるのだ。
本能的な恐怖から、カレンはぎゅっと目を瞑った。
直後、彼女の体を衝撃が揺らした。操縦席がガクンと落下し、僅かな浮遊感が訪れる。続いて発砲の衝撃。ハッチが閉まっていないせいで、砲声がそのまま飛び込んできた。落雷のような、全身が強張る凄まじい音だ。鼓膜が破れたかと思った。
続いて、三〇ミリ弾を受けた<無頼>が破壊される音。ぞっとするような金属の悲鳴を上げながら、操縦席はおびただしい数の破片によってズタズタにされる。肉片になった二人の体を、爆炎が焼き尽くした。
(え……?)
来ない。衝撃も、音も、破片も。何秒経っても襲ってこなかった。恐る恐る瞼を開く。目を開けたら悪夢が再開するのではないかという恐怖があった。
ライの肩口にうずめていた顔を上げ、状況を確認する。
ひびの入ったメインモニターには、頭部を吹き飛ばされ、天を仰いで崩れ落ちる<サザーランド>の姿が映し出されていた。
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