459:名無しNIPPER[saga]
2015/08/15(土) 17:40:25.46 ID:96BNk38DO
撃ち合いでは分が悪い。当たり前だ。こちらは射撃に必要な機能を殆ど失っている。むしろ撃ち合いまで持ち込んでいるライの技量が何よりも異常だった。
「ライ、後ろ!」
「わかってる」
先ほど殴り飛ばした<サザーランド>がこちらに砲口を向けていた。<無頼>は軽く右に動いてから、左に倒れ込む。際どいところで砲弾は空を切った。
<無頼>は身を捻り、地面に右肩をこすりながら、いま撃ってきた<サザーランド>へ発砲。当たりはしたがいずれも浅く、致命傷には至らない。だが武器は破壊した。
まずい。もう一機の<サザーランド>にやられる。カレンは慣れた手つきでコンソールを操作し、後方の状況を映し出した。モニターには破壊された<サザーランド>の姿がある。
妙だ。<無頼>は攻撃などしていないのに。
先ほどの射撃を<無頼>が横に飛んで回避した時、獲物を失った徹甲弾はどこの誰に直撃したのか。位置関係を思い出す。確か、二機の<サザーランド>が<無頼>を挟み込むような状況だったはずだ。
まさか──
「同士討ち……?」
カレンは背筋に冷たいものが流れるのを感じた。狙ってやったのだとしたら恐ろしいことだ。未来が見えていなければ出来ない芸当。そしてライはこの短時間で、そう思わせるだけの事を山ほど行っている。
戦場の支配者はテロリストからブリタニア軍に替わった。だが今は違う。現在、戦場という空間を掌握しているのは間違いなく、このくたびれたロートル機と、記憶喪失の少年だった。
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