469:名無しNIPPER[saga]
2015/08/18(火) 23:31:39.51 ID:2OP6sQVDO
ライは一言も発しなかった。到着するなり席を立ち、開きっぱなしのハッチから外の様子を窺っている。
「…………」
カレンはごく自然な動作でパネルを操作すると、機体のデータバンクに保存されていた幾つかの情報を外部フォルダに移し替えてから、メモリーチップを抜き取った。この中に今回の顛末が収められている。ライが何をしたのかも、全てだ。
しばし見つめてから、それをスカートのポケットに突っ込んだ。言い知れぬ後ろめたさがあった。
「早く出るぞ」
後ろからライが近づいてきて、カレンの手を引いた。
「う、うん。……きゃっ」
ハッチの近くまで来るとライは手を離し、少女の肩と足に腕を回す。お姫様抱っこの体勢だった。抱えられたカレンは突然の事態にされるがままになっていた。
三メートルほどの高さから飛び降りる。浮遊感が通り過ぎ、着地。僅かな衝撃の後、カレンを降ろす。
「人が集まってきた。早く離れよう」
「う、うん……」
野次馬が数を増やしている。役目を終えた<無頼>を乗り捨て、二人は帰路についた。
租界に入り、モノレールに乗る。それからバスを使ってアッシュフォード学園へ。道中の車内では二人とも無言だった。非日常から一転して日常に戻ってきたのだ。やはり違和感は拭えなかった。
いつの間にか晴れていた空は、既に赤くなっている。
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