513:名無しNIPPER[saga]
2015/08/28(金) 18:28:26.79 ID:BCVIJtYDO
「……ありがとう。これで僕は頑張れる」
口から出たのは感謝と決意の言葉だった。相変わらずたどたどしかったが、不思議なくらい熱が籠もっていた。
横から二つ、笑う声が聞こえる。
「やっと笑ってくれたね」
心底嬉しそうに、スザクが言った。大切な何かが伝わったらしい。ライは自分の顔を触った。少しは人間らしくなれたのだろうかと、嬉しくなる。
「……まあ、頑張れ。俺は先に行っているぞ」
ルルーシュはぶっきらぼうに告げると、ライの右肩をぽんと叩いて屋上を去っていった。
「さあ、行こう。待たせるとうるさいからね」
左肩を叩いてから、スザクも続く。開け放たれたままの扉から目を離し、ライは三度、空を見上げた。
力が湧いてくるのを感じる。今までなかった感覚だ。数秒ほど月を睨みつけてから、
「……よし!」
その力を、声に込めて吐き出した。
立ち止まるのはもうやめだ。歩きだすのだ。確かなものを得たのだから。自分が誰なのか、何をしたいのか、どこにいるべきなのか。まだ何も分かっていないが、ここなら、彼らとなら見つけられる気がする。
だから、今なら踏み出せる。
扉の向こう側を目指そう。
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