551: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/07(月) 23:02:34.56 ID:8dKBAj+DO
◇
ライの座った操縦席がシミュレーターに吸い込まれていく。その様子を見ていたスザクは、不安が胸の内を焦がすのを感じていた。
彼をここに連れて来て、本当に良かったのだろうか。他にやりようがあったのではないか。そんな考えがスザクの表情に陰を落とす。
「友達が心配?」
すぐ横から声がした。上司のセシル・クルーミー中尉のものだということに気づくまで、少しの時間が掛かった。
「はい。これが本当に、正しかったのかって……」
「当然ね。調べるのはあのロイドさんだもの」
ふふ、と冗談めかしてセシルは笑う。
「彼が本当に、言っていた通りの技能を持っているのだとしたら……」
どうするのだろう。ライが自分の現状に強い不満を抱いているのは良く知っている。衣食住の全てを与えられるだけの存在に終始するとは思えない。
ならばこそ、判明した力を何かに使う可能性は否定出来なかった。ライが言った事が本当なら、その力は軍事組織であればどこでも通用するだろう。ナイトメアの専門的な知識と、それを縦横無尽に操れる類い希な操縦技能を両立している者は、ブリタニア軍全体で見てもごくわずかだ。
そんな力の持ち主を放っておくほど、今の世界は優しくない。現にライは戦闘に巻き込まれ、眠っていた力を目覚めさせてしまった。
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