571: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/14(月) 22:12:37.69 ID:abxhPIPDO
あえなく四度目も失敗し、自分がやろうかとスザクが言い出そうか考えていると、ライは静かに左手で自分の右腕を指差し、
「……静脈はここです」
そう言った。このままだと血液検査のためだけに一時間浪費すると思ったのだろう。今まで言わなかったのはセシルのプライドを守るために違いない。
スザクはとても申し訳ない気持ちになった。上司は顔を真っ赤にし、しきりに謝っている。
「ご、ごめんなさいっ。こういうの、あんまりやったことなくて……」
「いえ……。僕は大丈夫ですから、どうか落ち着いて」
気遣ったための言葉だったらしいが、セシルは赤い顔で恨めしげに睨む。
「……ライ君は意地悪ね」
五度目にしてようやく成功し、医務室内にセシルのやったあ、という小さな歓声が響く。その頃にはスザクもライもかつてないほどに疲れ果てていた。
その後のCTを始めとする検査は滞りなく進み、全ての項目が終わったのは午後八時を回った頃だった。
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