576: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/14(月) 22:20:08.17 ID:abxhPIPDO
「だが、君も分かるだろう。過去の僕が平穏な生活なんて送っていなかったことぐらい。引き寄せられているのが分かる。結局は……」
逃げられないと、ライはそう言った。理不尽を受け入れ、大切な物を手放すことすら許容している表情。それが酷く癇に障った。
「違うよ。それは違う」
断固として否定した。脳裏には幸せそうに過ごす兄妹の姿がよぎる。
「…………」
スザクが頑なに拒否する理由が分からないのだろう。ライは眉を寄せている。認識に隔たりがあることを、ようやく思い出した。
彼はスザクが技術関係の、およそ危険とは無縁の部署にいると思っている。シミュレーターを使うことはあっても、実機に騎乗することは無いと。
嘘をついているのはこちらだ。悪いのは自分。しかし、真実を言うわけにもいかない。
「……ごめん。でも、過去がどうあれ、今の君は戦わなくて良い環境にいるんだ。それを手放す必要なんか、無い」
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