592: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/20(日) 00:23:26.83 ID:a5KsSFBDO
相当な豪傑のようだが、特に驚きもしない。混乱も無かった。
三度の突きをくぐり抜け、横薙ぎに払われた槍を跳んでかわす。既にこちらの間合いだった。
無造作に剣を振るうと、相手の槍は穂先から真っ二つになった。返す刃でその首を落とす。敵は驚愕の表情を浮かべたまま、絶命した。一瞬だった。
地面に落ちようとする首をさらに蹴り上げる。死してなお利用された生首は後方から飛来した矢を受け止め、戦場の誰かを救った。
剣を振るうごとに死体が増える。一歩進むごとに勝利が近づく。乾いた大地は流れ出る血の川を美味そうに吸い込んだ。何の感慨も無く、ひたすら前進する。苦痛も葛藤も無いのだから、これは単なる作業に過ぎない。視界の端に転がるのは過程で生じた世界の廃棄物なのだ。
遥か後方。馬に乗ったままの敵指揮官が逃走を図ろうとしている。下らない男だ。退却の機会を何度も与えてやったというのに、戦力の立て直しをするべきこのタイミングで逃げ出すとは。
あいつはいらない。
そう思い、地面に落ちていた弓を拾う。矢は──あれで良い。生首に刺さっていた物を強引に引き抜く。頭の内容物も一緒に引きずり出されたが、特に気にするものでもなかった。
矢をつがえ、弓を引く。
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