599: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/20(日) 00:38:20.13 ID:a5KsSFBDO
ロイドに渡した報告書にはカレンの事も記載していた。だが彼女はあくまでボランティア活動の一環でゲットーを訪れていただけであり、そこで顔見知りの自分と偶然行動を共にして事件に巻き込まれたとだけ書いていた。
世話係主任の仕事は彼女の善意によって行われているのだから、ボランティア云々についてはあながち嘘とも言い切れない。
そもそもカレンは名門シュタットフェルト家の令嬢なのだから多少の不自然は容易く握り潰せるし、軍も追及したがらないだろう。この先、彼女に火の粉が降りかかる事は考え難い。
ライの考えを察したのか、制服の胸元を掴むカレンの手に、いっそう力が込められる。俯いているため、彼女の表情は分からなかった。
「そういうことを言っているんじゃない! 少し間違えればあなた、学園から追放されていたかもしれないのよ」
「そうなるんであれば、そちらの方が良かった」
突き放すように言った。カレンは驚いた顔でライを見た後、その手を離す。それから二歩ほど下がった。
「だって……そうなったら、私のせいじゃない」
「それは違う。ついて行ったのは僕の意志だ」
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