620: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/26(土) 22:20:27.76 ID:rpLvuEADO
やはり、この関係は終焉に近づいているような気がしてならなかった。ライはぼんやりとした面持ちで朝練に励む運動部の声に耳を傾けていた。
朝の日差しを受けて輝くひび一つ無い石造りの地面。上には、だんだんと青くなっていく空と、白い雲。地平線の向こうから昇った太陽がその高度を上げていく。
自然の活力に満ちた風景は、心の中に滲んでくるそれとは全く違うものだった。この場所はもっと色づいていて、どこまでも平和だ。それなのに、朝からこんなところで陰鬱な話をしている自分とカレンがどこか異質な存在に思えた。
「ナイトメアに乗りたいの?」
「え……」
思考が引き戻される。意識が薄れていたために、カレンがすぐ近くにいることを失念していた。
目を向けると、カレンの端正な顔がまた近づいていた。注意深く、警戒の色さえ含んだ彼女の瞳がライを捉えている。
「……分からない」
ナイトメアに乗る必要があるとは思う。ようやく見つけた記憶の手掛かりなのだ。結果が出るまで究めた方が良いだろう。
だが、乗りたいかと言われると首を傾げてしまう。ライ自身、特にそういった願望は無いのだ。元より欲求の類に疎いのもある。
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