622: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/26(土) 22:24:40.45 ID:rpLvuEADO
「どうした」
「な、なんでもないわ。気にしないで」
目をそらし、動揺する様はライに不安を与えた。懸念が当たっているかもしれないという不安だ。
「……? 思ったことがあったなら言ってくれ。君の感想が何かのヒントになるかもしれない」
カレンはどんどん後退していく。先ほどまでは近すぎるくらいだったのに、この変化。意味が分からないライが無言で見ていると、彼女は視線を外してから慎重な口調で言った。
「その、ほら。すごくリラックスしていたって言うか。いつもより存在感があったかな」
「……いつもの僕は影が薄いということか」
「そうじゃなくって……なんていうか、安心感? みたいなのがあった……かも」
そう言って、またカレンは赤面してしまった。そんな彼女の様子には気づかず、ライは貴重な意見だと思って思考を巡らせる。
安心感。リラックスしていた。どういうことだろうか?
確かに、思い当たる節はある。戦場で感じた既視感。皮膚の中、肉と骨の奥──神経の深くにまで刻まれた感覚は、<特派>のシミュレーターで行う戦闘に不満を漏らしていた。
今朝、起きた時の事を思い出す。こびりつくようなあの感触。以前の自分は戦いを生業にしていたのだろう。ライはまたも気分が沈んでいくのを感じた。
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