623: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/26(土) 22:27:36.40 ID:rpLvuEADO
「……怖がらせてしまったな」
あんな姿を見せてしまったら、怖がられて当然である。やむを得ない状況で尚且つ、必死の形相で戦ったというのならまだしも、いつもと変わらぬ様子だったのだ。
カレンが警戒し、距離を取りたがるのは普通の反応だ。
うろたえ、動揺し、怯える……そういった部分を晒されることで、人は他者に親近感を抱く。逆に、その手の感情を持ち得ない人間は機械的で不気味だ。
そんなライの考えを見透かしたように、カレンの口調が叱る時のものになった。
「またそんな風に考えて。私があなたを怖がるわけないでしょう」
「……何故だ」
気を遣わせているのだと思ったライの口調がやや硬いものに変わる。無理をしなくてもいいのに。そう思った。
そんな彼の心境をよそに、カレンはまたも細い顎に人差し指をあてて思案していた。自信ありげな様子だった割に、特に考えは無かったらしい。
「何故って……お世話係だから?」
「意味が分からないな」
どうして疑問形なのか。
そう言うと、カレンから睨まれる。ライは目を逸らし、ついでに時計を見た。彼女が自分をどう思っているか、あの時に本当はどういった感想を抱いたか、深く詮索する勇気は無かった。
「そろそろ生徒会室に向かわないと、仕事をする時間が無くなる」
留守にしているミレイと仕事中のスザクの分があるのだ。そこにルルーシュのサボリやカレンの病欠などが重なる可能性を考慮すると、時間的余裕は常に確保しておく必要がある。
「……また放課後にスザクのところへ行くの?」
「ああ。そうなるな」
「……そう」
カレンは浮かない顔で答えると、それきり黙ってしまった。ライは疑問に思ったが、その心中を察することは出来なかった。
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