631: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/26(土) 22:41:37.52 ID:rpLvuEADO
「見捨てた……とはどういう意味だ」
ライは棚から書類を取り出し、それを机の上に並べながら尋ねた。
「昨日の朝。私が困っていたのに助けてくれなかったでしょ」
カレンはアーサーの餌と水を取り替えている。小さな黒猫は彼女に良く懐いているようで、その手に擦りよっていた。
カレンはアーサーを抱きかかえ、備え付けのソファーに座る。愛玩動物と戯れたために幾分か機嫌が直ったらしい。ライはその様子を黙って見ていた。
「困っていた……。ああ、あの時か」
登校してきた時の事を言っているのだろう。カレンは車から降りるやいなや、大人数の男子生徒達から囲まれていた。確かに困っているようにも見えた──かもしれない。
「む……」
事情を話そうとしてライは唸る。あの時は急いでいたのだ。ミレイが生徒会室で待っていると思っていたし、カレンの方にもさしたる緊急性を感じなかった。
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