677: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/06(火) 20:26:20.73 ID:h2uoLNaDO
「今の我々には、必要な力だと思います」
少女の瞳も、声も、ただ一人に向けられていた。扇でもなければ井上でもない。ましてや玉城でもなかった。
ソファーではなく、個人用の椅子に腰掛けた人物。黒い仮面に黒衣を纏った、彼らの指導者。
<黒の騎士団>の総帥"ゼロ"だ。
『……彼は確か、記憶喪失だそうだな。突然ナイトメアを動かしたのか』
感情はおろか、性別すら隠す機械音声。しかしゼロが話せば、部屋の誰もが口を閉ざして意識を彼のみに向ける。上下関係ではなく、主従関係。この組織におけるそれを端的に表していた。
「はい。頭部を損傷した<無頼>で、いまご覧頂いた通りの戦果を挙げました」
『だとすれば、感嘆すべき力だ。必要だという君の意見も理解できるな、カレン』
「なら……!」
自分の意見が尊敬する人物に認められ、少女──カレン・シュタットフェルトの表情が明るくなる。彼女は今、自身が三週間ほど行動を共にした少年について、組織の仲間達に──心酔している指導者に話していた。
シンジュクゲットーでの事件の折、使用した<無頼>より抜き取ったデータチップ。その中に保存されていた記録映像から、あの時にライが何をしたのか分かる。
仲間達は一様に感嘆していた。なにより"彼"がゼロに認められた事が嬉しかった。
『しかし、出所も思想も判然としない者を無闇に引き入れるわけにはいかない。騎士団はもちろん、学園での君の立場に影響してくるのだから』
1002Res/860.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。