691: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/06(火) 21:11:06.03 ID:h2uoLNaDO
「可能性の話よ」
カレンは笑って言ったが、その笑みは無理をして作っているように見えた。
「…………」
「…………」
それきり二人とも黙り込む。ライは元から無口だし、カレンも口数が多い方ではない。二人でいる時は沈黙も珍しくはなかったが、どうしてか今はことさら息苦しかった。
だんだんと関係が崩壊していくのが分かる。あのゲットーでの一件から、加速度的に終わりが近づいて来ている。
どうするべきなのか。ライとカレン。記憶喪失の身元不明者と、その世話係。主導権はいつだって彼女の方にあった。
どこへ行くにも、何をするにも、ライはカレンに手を引かれていた。その背中を追っていた。自分で何かを決めた事などあっただろうか。
何も言わず、ただ付いていく。
それで良いと思っていたのだ。だが、今はもう上手くいかなくなりつつある。
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